ブログ

建設業の許可を取得するために!その2「建設業の要件」

建設業許可の要件

 建設業の許可を取得するには、大きく分けて下記の6つの要件が設けられており、これらのすべてをクリアする必要があります。

  1. 経営業務の適正な管理
  2. 営業所に専任技術者がいること
  3. 財産的基礎等があること
  4. 誠実性
  5. 欠格要件に該当しないこと
  6. 社会保険への加入

経営業務の適正な管理

 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力とは、建設業の経営業務の管理を適正に行える体制が企業として構築されているということです。令和2年10月1日に建設業法が改正され、持続可能な事業環境の確保として、経営業務管理責任者がいないと許可が得られないとする規制を見直し、事業者全体として適切な経営管理責任体制を有することが許可要件となりました。簡単に言うと、主たる営業所に①常勤役員等に経営管理責任者を置くか、または②経験不足の役員の場合には、その役員を補佐する者を置くのいずれかが要件となります。では、細かく説明します。

建設業法施行規則第7条第1号より 

第七条 法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1) 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2) 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(3) 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者

ロ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であつて、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあつては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあつては当該建設業を営む者における5年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
(1) 建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者

(2) 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者

ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの。

上記の補足として、

  1. 経営業務の管理責任者としての経験について
    営業取引上、対外的に責任を有する地位(簡単に説明すると、会社の常勤の役員や個人事業主等)で建設業の経営業務について総合的に管理、執行した経験をいいます。
  2. 経営業務の管理責任者に準ずる地位のある者について
    建設業の経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会または代表取締役から具体的に権限移譲を受けた執行役員のことを言います。
  3. 経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者について
    法人における部長等、事業主における専従者等を指しますが、要件に該当するかどうかは前もって問い合わせをしておいた方が無難です。
  4. ロ(1)(2)について
    役員等として2年以上の建設業の経験があり、財務・労務・業務運営について役員等または役員等に次ぐ職制上の地位(例えば経理部長や人事部長等)でトータル5年以上の建設業の経験がある場合もしくは、業種を問わず5年以上の役員経験があり、かつ建設業について2年以上の役員経験を有する場合で、建設業の財務・労務・業務運営に関して申請会社において5年以上の経験を持つ直接補佐者(常勤役員等の直属の者)がそれぞれ必要(最大3名)となります。
    ※補佐者の3名は業務経験を証明できる場合は同一人であっても構いませんが、常勤役員等と兼ねることはできません。
    ※ここでいう「建設業」は許可業種を問いません。
    ※「常勤」とは、原則として本社、本店等において、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画の下に毎日所定の時間中、その職務に従事していることをいいます。

専任技術者

 営業所ごとに常勤して、専ら職務に従事することを要する者をいいます。ただし下記の場合においては原則として「専任」とはいえないとされています。

  1. 住所が勤務先の営業所から著しく遠距離にあって、常識的に通勤不可能な者
  2. 他の営業所にて、専任となっている者
  3. 他に個人営業を行っているもの、他の法人の常勤役員である者や他の営業所において専任に近い状態にある者と認められる者。
  4. 専任の宅地建物取引士等の他の法令により特定の事務所において専任を要することとされている者

専任技術者の要件

専任技術者の要件は、一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。特定建設業許可では、高度な資格や経験が必要となります。要件を下記にまとめてみました。

一般建設業許可
  1. 高校を指定学科で卒業して、かつ5年以上の実務経験があること
  2. 大学(短大を含む)を指定学科で卒業して、かつ3年以上の実務経験があること
  3. 10年以上の実務経験を有すること
  4. 取得したい業種に対応した国家資格などを取得していること
特定建設業許可
  1. 取得したい業種に対応した国家資格などを取得していること
  2. 一般建設業許可の要件上記1.~4.のいずれかに該当し、かつ元請として4500万円以上(税込)の工事に関し、2年以上の指導監督的な実務経験を有する者 
    ※指導監督的な実務経験とは、元請として工事現場主任、または工事現場監督のような資格で工事の技術面を総合的に指導した経験。ただし、指定建設業を除く

財産的基礎

財産的基礎要件とは、「請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと」(建設業法7条4号)をいいます。以下、一般建設業許可の財産的基礎の要件を説明します。1~3.のいずれかに該当することが必要となります。

一般建設業

一般建設業では、下記の財産的基礎要件のいずれかを満たしている必要があります。

  1. 自己資本が500万円以上あること
    ※自己資本とは、法人であれば貸借対照表においての純資産の合計額。 
    ※個人の場合は、期首資本金、事業主勘定と事業主利益の合計額から事業主勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額
  2. 500万円以上の資金を調達する能力を有すると認められる者
    ※金融機関等から500万円以上の融資を受けられる能力があると認められること。例えば、担保としての不動産等を保有している等で、具体的には取引金融機関の融資証明書や預金残高証明等で判断を行う。
  3. 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有する者(更新)
    ※建設業許可については、5年ごとに更新が必要でが、過去5年以上において許可を受けて安定した経営を行い、許可を維持している実績があれば、一定以上の資産を維持しているとみなされ、財産的基礎の要件を満たしているとされます。
特定建設業

特定建設業では財産的基礎要件が加重され、下記の要件をすべてクリアする必要があります。

  1. 資本金が2000万円以上かつ自己資金4000万円以上であること
  2. 欠損額が資本金の20%以下であること
    ※欠損額=当期未処理損失ー(法定準備金+任意積立金)
  3. 流動比率75%以上
    ※流動資産  /  流動負債×100

誠実性

 「法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でない者でなければならない」 建設業法第7条3号
 これは建設業法第1条において、発注者の保護を目的としている事もあり重要な要件の一つでもあります。 
 「不正な行為」とは、請負契約の締結又は履行の際の詐欺、脅迫等、法律に違反する行為であり、「不誠実な行為」とは工事内容、工期等、請負契約に違反する行為をいいます。
 また法人、役員、支配人、支店長、営業所長等の一定の使用人、または個人事業主と一定の使用人が、建設業法、建築士法、宅地建物取引業法等で、不正や不誠実な行為を行ったことで免許の取消処分を受け、その処分から5年を経過しない者である場合も原則として誠実性を満たさないものとして取り扱われます。

 よって法人、役員、支配人、支店長、営業所長等の一定の使用人、または個人事業主と一定の使用人が上記の「不正な行為」と「不誠実な行為」に該当しないことが要件となります。 

欠格要件

次の欠格要件に該当するものは、許可をうけることができません。

  1. 許可申請書やその添付書類の中の重要事項について虚偽の記載があったり、重要な事実の記載が欠けている場合。
  2. 法人、役員(非常勤を含む)、支配人、支店長、営業所長等の一定の使用人、または個人事業主と一定の使用人等が次の要件に該当する場合
  3. 成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない者
  4. 不正の手段等で許可を受けたこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者
  5. bに該当するとして聴聞の通知を受け取った後、廃業の届け出をした場合、届け出から5年を経過しない者
  6. 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき、あるいは請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない者
  7. 禁固以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  8. 建設業法、建築業法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せれられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  9. 暴力団による不当な行為の防止等に関する法律第2条6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  10. 暴力団員等がその事業活動を支配する者

社会保険への加入

建設業の経営業務の管理を適正に行える体制が整っている事の条件として、令和2年10月1日の建設業法改正にて社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)の加入が要件とされました。これにより、適用が除外されるケースを除いて適切な社会保険に加入していないと、許可が下りません。

以上が、建設業許可の要件です。建設業の許可を受けるには、この要件を満たしている事を証明していく必要があります。

戻る⇒ 建設業の許可を取得するために!!その1「建設業法の目的と建設業許可」


行政書士オリーブの樹事務所 建設業報酬額表

業務名報酬額
建設業許可申請新規  ¥ 115,000 ~ 
建設業許可更新申請 ¥  60,000 ~ 
建設業許可申請(業種追加 )¥  65,000 ~ 
建設業変更届出(事業年度報告書)¥  30,000 ~ 
経営状況分析申請¥  30,000 ~ 
経営事項審査申請¥  60,000 ~ 
建設業許可変更届(経営業務の管理責任者)¥  30,000 ~ 
建設業許可変更届(専任技術者)¥  25,000 ~ 
建設業許可変更届(役員・その他)¥  20,000 ~ 
建設キャリアアップシステム登録(事業者)¥  22,000 ~ 
建設キャリアアップシステム(技能者1人)¥  14,000 ~ 

関連記事

  1. 建設業の許可を取得するために!その1「建設業法の目的と建設業許可…

最近の記事

PAGE TOP