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仕入れた商品の記録は、どう残すのでしょうか?|紅葉ちゃんの古物商入門・第4話

許可取得後に備え、レシートを手に古物台帳の記入例を学ぶ紅葉ちゃんとオリーブちゃん

紅葉ちゃんと学ぶ、はじめての古物商・第4話

「レシートやアプリの購入履歴を残しておけば、よいのでしょうか?」
許可申請に向けて、営業の基本を学んでいる紅葉ちゃん。今回は、許可取得後に備え、古物台帳などの取引記録について、架空の例を使って確認します。

今回のポイント

必要な取引記録には、商品だけでなく、相手方の情報や確認方法も含まれます。記録の対象、項目、記録する時期、保存の方法を、営業開始前に整理しましょう。

紅葉ちゃんは、まだ許可取得前です。本話の取引は学習用の架空の例であり、実際の仕入れを行う場面ではありません。

レシートだけで、記録は十分でしょうか?

紅葉ちゃん

「購入日と金額は、レシートやアプリの履歴で分かります。それを残しておけば、よいのでしょうか?」

オリーブちゃん

「大切な資料ですが、古物営業法上の記録が必要な取引では、それだけで必要な項目を満たすとは限りません。古物台帳の記入例を見てみましょう。」

いわゆる「古物台帳」は、古物の取引と相手方について、必要な事項を残す帳簿等の記録です。盗品等の早期発見や被害回復に役立つよう、どのような商品を、いつ、誰と取引したかを確認できることが大切です。

通常のレシートには、売主の職業・年齢や、相手方の真偽を確かめた方法まで記載されているとは限りません。購入履歴を保存したうえで、法令上の必要事項がそろう記録を整えます。

根拠:古物営業法第1条・第16条。ここでは、古物商が作成する取引記録を扱います。古物市場主の帳簿とは区別します。

どの取引でも、古物台帳への記録が必要ですか?

紅葉ちゃん

「少額の洋服を仕入れる場合も、必ず記録しなければならないのでしょうか?」

オリーブちゃん

「法令上の記録義務には例外があります。まず、買受けと売却を分け、商品の種類と取引の総額を確認しましょう。」

古物を買い受ける場合、対価の総額が1万円未満なら、相手方確認と帳簿等への記録は原則として免除されます。ただし、書籍やゲームソフトなど、金額にかかわらず対象になる品目があります。1万円ちょうどは「1万円未満」に含まれません。

架空の買受け例 確認・記録の考え方
中古の洋服を1点、対価8,000円で買い受ける 通常の衣類で、この取引の対価総額が1万円未満なら、原則として免除されます。
同じ相手から中古の洋服を2点、各6,000円で同時に買い受ける 対価総額は12,000円です。各商品の単価が1万円未満でも、確認・記録が必要です。
中古の書籍を、対価3,000円で買い受ける 書籍は少額取引の免除対象から除かれるため、確認・記録が必要です。

表の金額は消費税を除いた対価です。「総額」は、1点の価格や月間の仕入れ合計ではなく、取引の対価の総額を確認します。自己が売却した物品をその相手方から直接買い戻す場合等には、別の例外があります。

1万円未満でも対象になる品目には、自動二輪車・原動機付自転車とその部分品、家庭用ゲームソフト、一定の光学的記録媒体(CD・DVD等)、書籍があります。さらに、令和7年10月1日から、エアコンの室外ユニット、電気温水機器のヒートポンプ、電線、金属製グレーチングが追加されました。品目ごとの範囲は、最新の施行規則と警察の案内を確認します。

根拠:古物営業法第15条第2項・第16条/古物営業法施行規則第16条。追加品目の説明:警視庁「古物営業法施行規則の一部改正について」。総額と消費税の扱い:福島県警察「解釈運用基準」第14・3。

「仕入れ」と「販売」は、同じ扱いではありません

売却時の帳簿等への記録は、買受け時とは別に判断します。通常の衣類の売却は、古物営業法上の売却記録義務が免除される扱いです。一方、美術品類、時計・宝飾品類、自動車、バイクなどでは売却時にも記録が必要になるため、商品の区分や部分品の扱いを確認します。

法令上の記録義務が免除される場合でも、仕入れ・在庫・売上を管理するため、商品番号や購入資料と結び付けて履歴を残すと役立ちます。これは事業管理のための工夫であり、すべてを法令上の必須項目として扱うわけではありません。

根拠:古物営業法第16条ただし書/古物営業法施行規則第18条。少額取引でも、未成年者からの買取りに関する規制等は別途確認します。

記録が必要な取引では、何を書きますか?

古物営業法第16条では、次の5つの事項を記録します。売却する自動車の相手方情報など、一部には例外があります。ここでは、個人から中古の洋服を買い受ける場合を考えます。

  1. 取引の年月日
  2. 古物の品目・数量
  3. 古物の特徴
  4. 相手方の住所・氏名・職業・年齢
  5. 相手方の真偽を確認するためにとった措置の区分
紅葉ちゃん

「商品名だけでなく、どのような商品だったか、誰から仕入れたかも分かるようにするのですね。」

オリーブちゃん

「はい。特徴は、その商品を確認できるように記載します。『洋服1点』だけで済ませず、品目や特徴を具体的に整理しましょう。」

根拠:古物営業法第16条。様式・特徴の記載方法:警視庁「帳簿の様式」。

中古のコートを買い受ける、学習用の記入例

許可取得後、成人の個人から中古のコート1点を、対価12,000円(消費税を除いた額)で対面により買い受けると仮定します。以下は、項目の考え方を学ぶための例です。

項目 記載内容の例・考え方
取引の区別・年月日 買受け/20XX年○月○日。実際に取引した日を記載します。
品目・数量 婦人用コート/1点
特徴 ベージュ、Mサイズ、前ボタン5個、右袖口に小さな擦れ。ブランド名や品番があれば、確認した情報を記載します。
相手方の情報 確認した住所・氏名・職業・年齢を記載します。見本では個人情報の記載を省略しています。
確認措置の区分 対面で運転免許証の提示を受けて確認した、など、実際に行った法令上の措置に合わせて記載します。

この表は、必要項目を説明するための簡略例です。実際の帳簿には相手方の情報等を省略せず、使用する様式に合わせて記載します。確認措置は対面・非対面で異なるため、本例をそのまま非対面取引へ当てはめないでください。

取引額や商品管理番号、レシート・写真等との対応を管理用に追加すると、後から照合しやすくなります。必要な事項と管理用の項目を区別しながら、警察の様式も確認して記録を整えましょう。

許可取得後に備え、架空の記入例を紙とパソコンで確認しながら練習する紅葉ちゃん
営業を始める前に、記入例を使って記録の方法を練習します。

紙の台帳でも、パソコンでもよいのでしょうか?

紅葉ちゃん

「最初は紙で練習して、営業を始めたらパソコンで管理することもできますか?」

オリーブちゃん

「はい。必要事項を記録し、法令に沿って保存できる方法を選びます。入力しやすさと、後から確認・表示できることの両方が大切です。」

  • 帳簿に記載する:法令の様式や必要事項を満たす帳簿を用います。
  • 取引伝票等で記録する:必要事項を記載できる伝票等を、取引の順にとじ合わせて管理します。
  • パソコン等で記録する:必要事項を漏れなく入力し、保存・表示できるようにします。

表計算ソフトでも、必要事項を満たす記録を作ることは考えられます。ただし、入力しただけで完了ではありません。営業所で記録を直ちに印刷できる機器等を備え、データの紛失を防ぐバックアップも準備しましょう。パスワードや閲覧権限の管理は、相手方の個人情報を守るためにも大切です。

根拠:古物営業法第16条・第18条/古物営業法施行規則第17条。電子記録・印刷の説明:福島県警察「解釈運用基準」第15・1、第15・2。バックアップや権限管理は、保存を支える運用上の工夫です。

いつ記録して、何年間保存しますか?

記録が必要な取引は、その都度記録します。「週末に1週間分をまとめて書こう」という運用にせず、商品を受け入れたり引き渡したりする取引の流れに、記録する作業を組み込みましょう。

帳簿等は、最終の記載等から3年間保存します。紙の帳簿は営業所等に備え付け、電子記録は直ちに書面に表示できるように保存します。帳簿を使い続ける場合に、各取引から3年経過したという理由だけで古いページを捨てるといった扱いは避け、帳簿等の保存期間を確認します。

根拠:古物営業法第16条・第18条/福島県警察「解釈運用基準」第15。税務等の資料の保存は別の制度です。古物営業法の3年間だけで、すべての資料を処分できると考えないようにしましょう。

紅葉ちゃんが、営業開始前に準備する3つのこと

  1. 扱う商品の取引を整理する
    買受け・売却を分け、確認・記録が必要な取引かを確かめます。
  2. 記録方法を決めて練習する
    紙・伝票・パソコンなど、自分が続けられる方法で架空の記入例を作ります。
  3. その都度の記録と保存の仕組みを作る
    保管場所、印刷環境、バックアップ、情報を扱う人を整理します。
紅葉ちゃん

「許可を取得した後に慌てないよう、まずは記入例で練習しておきます。申請に向けて、予定している商品の種類や取引方法も整理したいです。」

オリーブちゃん

「はい。営業の流れが見えてきましたね。次は、その計画をもとに、古物商許可の申請準備を進めましょう。」

今回のおさらい

  • レシートや購入履歴だけで、必要な取引記録を満たすとは限りません。
  • 商品の種類、取引の総額、買受け・売却の別を確認します。
  • 必要な取引はその都度記録し、保存・表示できる方法で管理します。
次回予告

第5話「古物商許可の申請、何から始めればよいのでしょうか?」

営業所、取扱品目、必要書類など、紅葉ちゃんの販売計画に合わせて申請準備を整理します。

古物商許可申請に向けたご相談

行政書士オリーブの樹事務所では、予定されている商品・仕入れ方法・販売計画を伺い、古物商許可申請に向けた準備をご案内します。

お問い合わせ・ご相談はこちら

法的根拠・参考資料

資料確認日:2026年10月8日。登場人物・会話・記入例は説明のための創作です。具体的な記録義務や方法は、商品・取引内容等に応じて、営業所所在地を管轄する警察署等へ確認してください。

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