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紅葉ちゃんと学ぶ、はじめての古物商・第5話
仕入れ先の確認や取引記録の基本を学んだ紅葉ちゃん。いよいよ古物商許可の申請に向けて動き始めます。最初にすることは、申請書を埋めることなのでしょうか。
「まず、住民票を取って申請書を書けばよいでしょうか?」
「書類をそろえる前に、どなたが、どこで、何を、どのように扱うのかを整理しましょう。その計画によって、申請内容や必要な資料が変わります。」
書類集めの前に、営業の計画を具体化します。ここでは、紅葉ちゃんが個人で、中古の洋服やバッグを扱う営業を計画している例で進めます。まだ営業は始めていません。
個人事業として営業するのか、法人として営業するのかを確認します。お店の名前を付けることと、法人を設立することは別です。個人の屋号は、法人の名称とは区別します。
後に会社を作る予定があっても、個人の許可をそのまま法人名義に変えて営業できるとは考えないようにします。個人から法人へ切り替えて古物営業を行う場合は、法人として新たに許可を受ける必要があります。ご本人が代表者となる場合も同様です。移行前に申請と営業開始の時期を確認しましょう。
根拠:古物営業法第3条・第5条。個人から法人への切替え:千葉県警察「古物商・古物市場主許可について」。個人・法人の申請区分:警視庁「古物商許可申請」。
「最初は自宅で、私一人でネット販売を始めたいと考えています。お客様が来ない場合も、営業所が必要なのでしょうか?」
「営業所は、店頭で商品を売る場所だけを指すものではありません。取引や帳簿を管理し、営業の責任を負う拠点がどこにあるかを確認します。ご自宅がその拠点になる場合もあります。」
警察庁の解釈運用基準では、営業所は、営業全体の法律上・事実上の行為について責任の所在となる本拠であり、営業に必要な帳簿や商品を保管する事務所・店舗等も含むと説明されています。来店型の店舗がないことと、営業所がないことは同じではありません。
一方、古物営業法第3条は、営業所のない者について住所又は居所を営業所として扱う規定を置いています。通達でも、行商のみを行う場合の住所・居所の扱いが示されています。そのため「専用の店舗を借りなければ、必ず許可を受けられない」とは言えません。紅葉ちゃんのように自宅で取引管理をする計画では、その場所を営業の拠点として具体的に確認します。
根拠:古物営業法第3条・第5条。営業所の意味:警察庁「古物営業法等の解釈運用基準について(通達)」令和8年5月14日・別添第5の1。営業所の定義の説明は、この通達を参照しています。
「それなら、自宅の住所を書けば大丈夫でしょうか。賃貸住宅や、公営住宅でも同じですか?」
「住所を書くだけではなく、実際にその場所を営業に使えるかを確かめましょう。賃貸借契約や管理規約、公営住宅の使用条件は、古物商許可とは別に確認が必要です。」
自宅を営業の拠点にする場合は、どこで取引の管理を行い、帳簿や商品をどのように保管するかを整理します。営業所の実態を確認することと、その建物を契約や他法令上も営業に使えるかを確認することは、区別して考えます。
賃貸住宅では、契約上の使用目的や管理規約を確認します。営業利用に所有者等の承諾が必要か、必要な場合にどのような手続を取るかは、所有者や管理会社等に確認してください。これらを古物商許可の一律の要件や、承諾書等の一律の提出義務として説明するものではありません。
古物商許可を受けたことだけで、建物を営業に使用する権限が生じるわけではありません。契約違反や使用上のトラブルを防ぐため、営業を始める方自身で確認することが大切です。
「公営住宅に住んでいる場合、ネット販売で来客がなければ使えるのでしょうか?」
「来客がないだけで、営業に使えるとは判断できません。住宅としての使用条件があるため、まず住宅の管理者に、予定する利用方法を説明して確認しましょう。」
公営住宅は居住のための住宅であり、営業所として利用するには、各自治体の条例や使用条件の確認が必要です。一般の賃貸住宅と同じ感覚で、自由に営業利用できるとは考えないようにしましょう。
例えば一般都営住宅では、住宅の一部を住宅以外の目的に使う場合に知事の許可が必要です。その許可基準も、入居者の福祉を目的とする一定の業務等に限られるなど、制限されています。店舗等に使える構造部分を備えた住宅に関する別の基準もありますが、通常の住戸で古物販売の営業所を設けることは、容易に認められるものと考えないことが大切です。
古物商許可を受けることと、公営住宅を営業に使用できることは別の問題です。「公営住宅は全国一律に必ず不可」とも断定せず、住宅の管理主体に使用条件や住宅側の許可の可否を確認します。必要なら、別の営業拠点を用意することを検討しましょう。
東京都の例:東京都営住宅条例第21条第1項第2号/同条例施行規則第24条。公営住宅の用途制限は、古物営業法施行規則とは別の制度です。他の自治体の公営住宅は、それぞれの条例・使用条件を確認してください。
用途地域や他の法令、物件の契約条件についての確認は、古物商許可の申請要件とは分けて考えるものです。ここで紹介する確認は、許可を受けた後に法令違反や契約上のトラブルに巻き込まれることを防ぐための、予防的な確認です。
これらの確認に関する証明書や承諾書等が、古物商許可申請の添付書類として一律に必要になる、という意味ではありません。申請に必要な書類は、申請内容に応じて所管警察署の案内で確認します。
古物商許可を受けたことは、ほかの法令や契約上も、その場所での営業が認められたことを意味しません。事業者自身が、来客の有無、商品の保管、作業内容など、予定する営業の実態を整理し、自治体の担当窓口や物件の所有者・管理者等に確認しておくことをお勧めします。ご自身の事業を守り、安心して営業を続けるための備えです。
なお、「確認をお勧めする」ということと、関係法令や契約条件を守る必要があることは別です。必要な許可や承諾がある場合は、営業開始前に所定の手続を行ってください。
「住宅の管理者から承諾を得られれば、その場所で営業できるのでしょうか。市街化調整区域という言葉も聞いたことがあります。」
「承諾だけで判断せず、土地や建物の利用制限も確認しましょう。用途地域による制限と、市街化調整区域での建築・用途変更の制限は、それぞれ確認が必要です。」
用途地域は、地域に応じて建てられる建物の用途や規模等を定める仕組みです。例えば住居専用地域では、店舗・事務所としての利用や、住宅と兼用する場合の業種・面積等に制限があります。「自宅の一室」「小規模なネット販売」という呼び方だけで判断せず、実際の作業、来客、商品の保管方法、使用する床面積等を整理し、建築物の用途としてどう扱われるかを確認します。地区計画や条例による制限が加わる場合もあります。
また、市街化調整区域は、市街化を抑制する区域です。新たな開発や建築が制限されますが、あらゆる建築が一律に禁止されているという意味ではありません。例外や許可基準があり、土地・建物の履歴や計画によって判断が異なります。
すでに住宅が建っている場合でも、それを店舗・事務所等へ変更して使うことが、そのまま認められるとは限りません。開発許可を受けた土地での用途の制限や、市街化調整区域内の既存建築物の用途変更について、都市計画法第42条・第43条等の確認が必要となる場合があります。工事をしない場合も、使用方法を変える前に確認しましょう。
古物商許可、物件の使用承諾、都市計画・建築上の適法性は、それぞれ確認します。候補物件を契約する前に、所在地と建物の資料、予定する使い方をまとめ、自治体の開発許可担当・建築指導担当へ相談します。建築確認等の手続の要否も、実際の用途や変更内容に応じて確認してください。
用途地域:建築基準法第48条・別表第2等/東京都「用途地域等に関する指定方針及び指定基準について」。区域区分・開発・用途変更:都市計画法第7条・第29条・第34条・第42条・第43条等/国土交通省「開発許可制度の概要」/同「空家等の既存建築物の用途変更許可の弾力化について」。本項は確認の入口であり、個別物件の利用可否を判定するものではありません。
古物商は、営業所ごとに業務を適正に実施する責任者として管理者を1人選任します。申請者本人が管理者を兼ねる形もありますが、管理者になれない事由に該当しないかも確認が必要です。名前だけを置くのではなく、日々の取引や法令遵守に目を配れる体制を考えます。
根拠:古物営業法第4条・第13条/警視庁「申請届出様式等一覧」(個人・役員が管理者を兼ねる場合の誓約書の案内)。

「何でも扱いたい」だけでは、営業の計画が見えません。まず、扱う予定の商品を具体的に書き出します。古物は施行規則で13区分に分かれています。
| 紅葉ちゃんの予定商品 | 検討する区分の例 |
|---|---|
| 中古のコートやブラウス | 衣類 |
| 中古の革製バッグや財布 | 皮革・ゴム製品類 |
上の例は、商品の材質・用途等を前提とした整理です。「バッグ」と呼ぶ物がすべて同じ区分になると考えず、実際の商品をもとに確認します。取り扱う区分と、主として取り扱う区分も整理しておきましょう。
根拠:古物営業法施行規則第2条・別記様式第1号/13品目の案内:神奈川県警察「古物営業許可申請手続」。
店舗での仕入れ、個人からの買受け、フリマアプリ等の利用では、相手方確認の手順も変わります。販売先だけでなく、どこから仕入れるのかを書き出してください。第3話・第4話で学んだ相手方確認と記録を、予定する取引で実施できるかも確かめます。
営業所以外で取引をする予定は、行商の有無の検討につながります。インターネットを使う場合は、利用するサービスや自分のショップの画面・URLを整理し、申請書への記載や使用権限を示す資料が必要となる営業形態かを確認します。「ネットを使うなら、どのURLでも同じ」とは限りません。
根拠:古物営業法第5条・第11条・第15条・第16条/警視庁「古物商許可申請」/警視庁「古物商許可申請をされる方へ」。
「書類を集める前に、まだ決めておくことがあるのですね。予定している取引を、順番に書き出してみます。」
「はい。未定の点も、そのまま相談の材料になります。営業の計画が整理できたら、ご本人と管理者の書類を確認していきましょう。」
誰が・どこで・何を・どの方法で営業するのかを先に整理します。管理者や欠格事由の確認も必要です。許可が必要な古物営業は、許可を受ける前に始めないようにしましょう。
今回の準備をもとに、次の手順を一つずつ確認します。
行政書士オリーブの樹事務所では、予定する商品・仕入れ方法・営業の計画を伺い、申請に向けた準備をご案内します。
資料確認日:2026年10月19日。登場人物・会話・画像は説明のための創作です。個別の許可要否・必要書類・手続は営業内容と所在地に応じて異なります。営業所所在地を管轄する警察署等で最新の案内をご確認ください。
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